2025年VisionDevCampの開催概要

opening VisionDevCamp2025

2025年4月11日(金)〜13日(日)に開催されたVisionDevCamp2025では、多くの方々にご参加いただきました。

9チームのプロジェクトが応募され、素晴らしいプロジェクトが誕生しました。

開催日

2025年4月11日(金)〜13日(日)

開催場所

Engineer Cafe - Hacker Space Fukuoka

参加者数

38名(最終審査の参加者数35名)

プロジェクト応募総数

9件

応募プロジェクト

#1 PinchVR101

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  • カテゴリ: WebXR賞
  • 賞品: ¥2000 Amazonギフト
  • プロジェクト: PinchVR101
  • 名前: Yuya Shimbori
  • コード: https://github.com/yuyays/three_js
  • 技術: threeJS/webXR

初めてのXR開発、そして初めてのApple Vision Proの使用にも関わらず、彼は両手でのトラッキングと、同時に両手を使ってオブジェクトを掴む機能の実装に成功しました。このチャレンジングな目標を見事に達成し、今後はこの体験をより没入型に進化させていく予定です。

彼は本業ではコンピュータープログラミングを教える教師であり、教育の現場でも技術と創造力を駆使して人々にインスピレーションを与えています。今回の開発成果も、その教育者としての情熱と探究心が反映されたものであり、多くの人に刺激を与えることでしょう。 彼は福岡の審査員からWebXR Prizeを授与されました。

#2 Planetarium

jorge

Jorgeさんは、普段は数学の研究を行なっていますが、イベント中のワークショップで学んだことを活かして、Planetariumを作成しました。 球体を触ると止まったり、色が変わったりするように、ワークショップで使ったコードから多くのアレンジを加えたものを披露していただきました。 彼は多くのアイデアを持っていて、他の参加者たちに多くの刺激を与えていました。 彼の挑戦は素晴らしいものです。

#3 Flying Debug

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  • カテゴリ: Immersive Prize
  • 賞品: ¥1000 スタバカード (x2)
  • プロジェクト: Flying Debug
  • メンバー: Charles B and Jenny Liu
  • コード: https://playground.babylonjs.com/#72RPJA#195
  • 技術: BabylonJS/WebXR

このチームはイベント2日目に結成されました。Jennyさんはまだ取り組むプロジェクトが決まっておらず、Web開発の経験を活かしたいと考えていました。一方、CharlesさんはOblivion(ノートテイキングプラットフォーム)に関連した明確なアイデアを持っており、もともとはXR空間でノートを視覚的に表示することを目指していました。

しかし開発中に技術的な問題が発生し、2日目に思い切ってアイデアの方向を変えることにしました。Apple Vision ProがBabylonJSというWeb向け3D描画ライブラリをサポートしていることがわかり、そこからノートの視覚化というアイデアから、没入感のあるスケール都市を舞台にした体験へと発展しました。この都市の中では、ワイヤーフレームの風景から2つの異なる世界へとテレポートできる機能が実装されています。

こうした方向転換は簡単なことではありません。最初に思いついたアイデアにこだわらず、状況に応じて柔軟に発想を切り替える判断が求められます。チームはお互いに交代で開発とテストを進め、日曜日にはApple Vision Pro上での動作確認に取り組みました。初めはうまく動作せず苦戦しましたが、落ち着いて調整を行い、無事に問題を解決しました。

最後の難関はデモの時間でした。本番直前までは順調だったものの、デモの直前に突然トラブルが発生しましが、粘り強く試みを続けた結果、最終的には無事に動作し、完成度の高いプレゼンテーションを披露することができました。

今後は、最初に目指していたXRノートの視覚化プロジェクトにも、ぜひ再挑戦していただきたいと思います。これからの活躍にも大いに期待しています。

#4 INARI (In NARratIve)

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  • カテゴリ: Overall Engineer Cafe Prize
  • 賞品: Grand Prize (details coming)
  • プロジェクト: INARI (In NARatIve)
  • メンバー: Tung Tran
  • コード: N/A
  • 技術: Swift, RealityKit, MidJourney, Gemini, gTTS

九州大学の博士課程に在籍している彼は、このイベントに万全の姿勢で臨みました。Apple Vision ProやXRの正式な経験はなかったものの、AIを活用して物語体験を創出するという明確なプランをすばやく構築し、その取り組みはとても印象的でした。

デモの目標は、物語や書籍の内容に基づいて没入型の3D空間をリアルタイムで生成するというものでした。

最大の課題は土曜の夜に発生しました。生成AIサービスを使って、環境を動的に読み込もうとする中で多くの困難に直面しましたが、彼は強い意志で乗り越えました。SwiftUIの開発経験がなかったにもかかわらず、諦めずに進めた姿勢は称賛に値します。最終的には、シーンの切り替えが可能なセミインタラクティブな環境を完成させました。

デモでもひと工夫がありました。音声は外部から読み込まれており、観客はドン・キホーテの朗読音声を聞きながら、その世界観を体感できました。彼が構築したパイプラインには、参加者全員が感銘を受けていました。

なお、彼は「Engineer Cafe Prize」としてEngineer Cafeの創設者から授与されました。

今後は、任意のストーリーコンテンツをもとにリアルタイムで体験を生成する、より完成度の高いApple Vision Pro向け没入型体験の開発が期待されます。

#5 Training Partner

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このチームは初日の夜を終えたあとに結成されました。目標は、ボクシングのトレーニングパートナーとなるVR体験を作ること。メンバーはどちらも3D開発の経験がなく、Apple Vision Proの使用も今回が初めてでした。しかも、そのうちのひとりはプログラマーではなく、いわゆるPMタイプ。内容の技術的な難しさを考えると、途中で離脱してもおかしくない状況でしたが、最後までしっかりと取り組みを続け、チームで形にしていきました。

最初にぶつかった壁は、完全に未経験の状態からどう始めるかということでした。AVP、Swift、RealityKitなど、どれも初めて触れる技術でしたが、手を動かしながら学ぶ“Vibe Coding”のスタイルで一歩ずつ進めていきました。Adobeから購入した3DモデルをRealityKit Composerに取り込み、さらにRealityKitに実装するという流れを試行錯誤しながら習得。何度かの試行錯誤を経て、土曜日にはアニメーション付きのモデルをAR上で動かすことに成功しました。実際に動くトレーニング相手の体験は、とても魅力的なものでした。

デモ当日には、チームのプレゼン力が光りました。技術的な成果はもちろんのこと、プロジェクトの将来性や応用可能性をうまく伝え、多くの関心を集めました。このアイデアには、アスリート向けトレーニングツールとしての大きな可能性があります。今後もこのビジョンを発展させていってほしいと強く思います。

#6 ブロックキャッチ

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  • カテゴリ: Unity Polyspatial Prize
  • 賞品: ¥5000 商品券
  • プロジェクト: ブロックキャッチ
  • メンバー: 嶋村優一
  • デモ: https://block2024.glitch.me/
  • 技術: Unity 5 Polyspatial

12歳の彼はひとりでイベントに参加し、集中して何か面白そうなものを作っていました。 周りの大人たちは彼には手助けが必要だと思い、皆が声をかけましたが、彼は大人たちをうまく頼りつつも問題に直面した際には大人に答えを求めるのではなく、自力で解決する姿勢を見せていました。

発表の直前に彼は「まだ完璧じゃないから提出したくない」と言いました。しかし、私たちは彼を説得し、最終的にプロジェクトを提出することになりました。同時に、彼が使っていたのはUnity Polyspatialだと判明。正式なトレーニングを受けたわけでもない彼が、Apple Vision Pro上でジャグリングのアプリを制作し、ステージ上で堂々とデモを披露しました。その姿に、会場は驚きと感動に包まれました。

これからの彼の未来が本当に楽しみです。

#7 Nearling

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このプロジェクトは、Apple Vision Pro に精通した開発者によって取り組まれました。週末を通して、カメラ、iPad、Apple Vision Pro といった複数のデバイスを用いて静かに開発を進め、クラウドを使用せず、ローカル環境のみで動作する複数のアプリケーションを連携させたシステムを構築しました。

プロジェクトのコンセプトは、まもなく誕生する自身の子どもとのつながりを、ARを通じて感じるというものです。Apple Vision Pro 上に投影されたスクリーンを用いて、子どもの様子を視覚的に確認できる体験が提案されました。個人的な思いを背景にしたコンセプトでありながら、実装の完成度は非常に高く、リアルタイムの映像可視化とネットワーク連携の技術が巧みに取り入れられています。

日曜日のデモでは、小道具やスライドを使った丁寧なプレゼンテーションが行われ、システムは安定して動作。観客に強い印象を残しました。週末という限られた時間の中で、こうした複雑な構成のプロジェクトを完成させた点は、特筆すべき成果といえます。

今後は、この仕組みが製品として展開され、世界中の親たちの支えとなることが期待されています。

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参加者の皆様に感謝するとともに、受賞者の皆様に心からお祝い申し上げます!